牛乳の品質管理ツール
D j i n l e t ®
トピックス 乳牛の予防
酪農業者は、乳牛から搾乳された牛乳の粘性や色に変化が生じたり、小さな塊が混じるなど、牛乳の質に変化があったと感じ、乳牛の乳房の乳腺のある部分に炎症を見つけ、乳牛の体温の上昇、疲労、食欲の減退といった変化を見つけると、自分で治療を試みるか、獣医を呼んで治療を依頼します。
いずれにせよ、搾乳した牛乳は廃棄し、治療を行わねばなりません。健康な乳牛から搾乳した牛乳の入ったタンクに、乳房炎にかかった乳牛から搾乳した牛乳が混ざらないように、乳房炎の症状を表した乳牛の身元を割り出さねばなりません。酪農台帳に乳房炎にかかった乳牛の番号、服用した薬名と服用量および服用方法、搾乳禁止期間を記入します。乳房炎が繰り返された乳牛の搾乳を行う場合、一日に2回の搾乳を行うたびに、酪農家は不安を感じながら搾乳室に入ることになります。
酪農家にとり、乳房炎は、収入の大きな損失の原因となります。
炎症が肉眼で判別できない非臨床の乳房炎は、もっと厄介です。酪農家が乳牛が非臨床の乳房炎に感染しているかどうかを調べる方法は、大きく分けてふたつあります。ひとつは牛乳の品質を鑑定する人が、定期的にそれぞれの乳牛から搾乳された牛乳内の白血球細胞の個数を測定する方法です。もうひとつの方法は、C.M.T (California Mastitis Test) といい、試薬の粘性度の上昇を測定し、その測定値をもとに牛乳の中に存在する白血球細胞の数を割り出す方法です。正常な乳牛から搾乳した牛乳の中にも、白血球細胞は少量含まれますが、この数量が上昇すると、乳房炎の要因になる細菌が多量に侵入しつつあることを示唆します。
乳腺の内部や、乳房の結合組織に細菌が侵入すると、臨床の乳房炎を発症する原因になります。こうした状況が続くと、治療不可能な損傷を起こしたり、非臨床の乳房炎の慢性化を引き起こす原因となります。このような状況に追い込まれた乳牛は、排除せねばならなくなるなど、酪農家にとっては大きな損失を招きます。また、酪農場にある牛乳を貯蔵するタンクには、搾乳した乳牛の牛乳をすべていっしょに貯蔵するのが通常となっているため、10%の乳牛が乳房炎に感染していると、搾乳した牛乳の中の白血球細胞の数が大きくなり、生産する牛乳の品質が落ち、販売価格の下落要因となり、酪農家の経済損失を生みます。乳房炎に感染したかどうかを確認するテストは、現状、乳牛ごとに搾乳した牛乳をテストし、感染の有無を判定います。ところが、乳牛には4つの乳腺があるため、こうした従来からのテスト方法では、どの乳腺が乳房炎に感染しているかを、個別に判定しておりません。本来は乳腺ごとに個別にテストを行うべきですが、現在のテストでは乳腺ごとのテストは色々な理由により、行われておりません。ジンレット (DJINLET®) は乳腺ごとにテストを容易に行えるように作られています。
一般的に、乳房炎は4ヶ所の乳腺のうちの1ヶ所から発症します。ここで適正な治療を怠ると、乳房炎は他の乳腺に広がり、最悪の場合は、4ヶ所の乳腺がすべて感染することもあります。このようにして、乳牛は急性の乳房炎にかかったり、慢性の非臨床の乳房炎にかかったりしています。
現段階では、決定的な治療方法がないため、このような状態に陥った乳牛は、死亡率が増加したり、畜殺が行われたりしています。乳房炎発症のリスクをを正しく管理することにより、牛乳の品質を向上し、家畜全体の経済寿命を延ばし、酪農収益を上げることに役立ちます。
ご参考までに、牛乳価格のグローバリゼーション下において、酪農家が収益を維持するための数少ない方法として、家畜の群れを更新するための子牛の頭数をうまく管理することが上げられます。こうした経営管理を行うには、飼料や原料を会計管理するよりも、家畜の群れの平均年齢を管理する方法が有用です。